若いは良いが…

きーちゃん

2009年08月20日 17:52

昨日の宿泊予約を受けた登山者一名が、結局消灯すぎても来ませんでした。



夕食、到着した泊まりのお客さんと一杯飲みながら

「どうしたかねぇ…」

と、多少気にはかけていましたが、この時期万が一ビバークになっても雨に当たらなければ命に関わる様なことは少ないでしょう。
まあドタキャンかもしれないし…。



で、今朝。


泊まりのお客さんに朝食を出した5時過ぎ、ガラリと扉の開く音。
前夜予約した方が来ました。

見れば三十代前半の男性。一目見て、道中夜を明かしたなと分かりました。


「すみません、なにか食べ物…ありますか?」


「こんな時間にどうしたの?ビバークしたの?」


「はい…、寒くて眠れませんでした…」


生気を失った感もなく、割と元気で安心。


カップめんを出して、暖かいご飯と昨夜の残りの唐揚げをサービスで出しました。
「わあ!やった!ありがとうございます!バクバクバクバク…」


話によると17時に毛木平の駐車場を出発。千曲川沿いのコースを歩き水源地の辺りで日が暮れて、さらに足が痛くなりそこで野宿を決めたらしい…。
が、三時間ばかり休んでいたけど寒くてどうしようもなくなりヘッドライトで山頂目指し歩き始め、3時位から山頂でじっとしていたらしい…。

そんな話を聞いて思わず笑ってしまいました。

「プププっ、日の出、きれかったでしょ」

「はい、でも寒かったです」

だって。


小さなディバッグにはカッパも行動食も防寒着も入っていない…。
ヘッドライトが入っていた事が奇跡と思えます。
今朝の気温は9℃。

そりゃ寒いよ。


で、話しているうちに、その青年と意外なカラミがあったのでビックリしました。


「何でまたそんな遅い時間に出発になったの?」

「仕事の都合でなかなか…機会なくて」

「山、歩いている感じじゃないよねぇ」

「はい、東京の荒川沿いに住んでいて、ただ水源が見たくなって…」

「どこ?俺、北区に住んでるよ、12月から4月までだけど」

「えっ、ほんとうですか?!僕、足立区です、近いですねぇ!」

「仕事なにしてんの?」

「梅島にあるライブハウスで…」

「え、もしかしてユーコトピア?」

(注…ユーコトピア=梅島にあるデッドファンの集まるアングラな雰囲気のライブハウス)

「え?!知ってるんですか?!」

「10年位前だけど、何度か出演させてもらってたよ」
「えー!」



てな事で、ちょっとしたライブハウス話に花が咲きまして、懐かしい話や共通の知人の話題で盛り上がりました。

しかし、面白い事もあるもんだ。



でも、小屋番としては一歩間違えれば遭難になりうる装備が気になりますね。

コンビニカッパでもあれば寒さも幾分しのげたはず。ちょっとした食料でもあれば、慌てず朝を迎えられるし。
使うことがなくても「必携」な物はあります。



でもねぇ、こういう勢い、結構好き!


僕も今思えば…、沢や雪山を始めたときは、装備揃えるよりも行きたい気持ちが先走って、とんでもないこともしていたし、痛い思いもしました。

若いから、とりあえずの体力があるからなんとかしのげることも多いです。

先ずは体力があれば何とかなる…。

後は経験。
痛い思いが経験になればね。
でも…、痛い思いが最後になることも…。



あと一ヶ月もすると、こんな装備でのビバークは笑ってすませられません。



ともあれ無事で良かった良かった。


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