「ブンブン〜、ブンブンブ〜ン」
紛れもないエレキベースを奏でる音。
(お隣さんも音楽をやっているのかあ)
これで新参者の私も多少は気兼ねせずにジャンカジャンカとギターが弾けました。
たまに顔をあわせても挨拶する程度だった関係ですが、先月に初めて立ち話をしました。
お隣さんはご夫婦。
「あなたのギター、いつも心地よく聴いているわ、とても素敵なギターね」
「あっ、いやいや・・、ウルサくないですか、すいません・・・」
「ぜんぜんウルサくないわよ,こちらこそベースの音、ウルサくない?」
「いや、ぜんぜん大丈夫っす、ベース弾かれるんですね」
「私ではなく主人がね、私は何も出来ないの」
穏やかそうなそのご夫婦。音楽の話,出来たらセッションなんて出来たら良かったなあ・・・。
来月、引っ越す私はそんな気持ちもあってご挨拶にお隣さんのドアをノックしました。
「えっ!引っ越しちゃうの!残念・・・!あなたのギター、好きだったのよ〜本当に」
と言って下さったお隣さんに恐縮しながら挨拶をすませ、荷造りに汗を流していたらノックの音が。
「今夜時間が空いたら一緒にセッションでも」というお隣さんからの誘いでした。
夕方、アコースティックギターを片手にお隣さんのお部屋へ。
40年近くこのアパートに住んでいると言う事にもビックリしましたが、夫婦二人で住んでいるにはスッキリとして奇麗な部屋にもビックリしました。
初めは緊張しながらも、ギターとベースのセッション等しながら話しているうちにかなり打ち解ける事が出来ました。
「楽器はここにあるから、いつでもふらっと遊びにおいで、本当に待っているからね」
と言ってくれ、連絡先も交換して部屋を後にしました。
しかし、部屋を出てすぐ目の前が私の部屋って、いいなあ。ギターも裸のままだし(笑)。
もっと前からこうした付き合いが出来ていたらと思わずにはいられませんでした。
部屋に戻り嬉しい気持ちのまま、突っ掛け履いて行きつけの赤提灯へ。
「おっ、山から降りて来たのか!渡り鳥!」
以前、背中にギターを背負いながらトボトボ歩いている所を目撃されてから、そんな風に言われたり。
いつもの様に何品かのサービスのつまみをいただきながら日本酒を飲む。
「マスター,俺、来月引っ越す事になり赤羽を離れるんです、いろいろお世話になりました、あっでもまたちょくちょく来るとは思いますけど」
挨拶をしてカウンター越に話を弾ませました。
お勘定を済ませたらマスターが
「これ持って行けよ,俺の田舎の友達がこさえてるヤツだ」
と、ドッシリとした瓶詰めの津軽のストレートリンゴジュースを持たせてくれました。
そして
「ライブをやる時はチラシ持ってこい、また張っておいてやるから」と言ってくれました。
先日買ったキャノンのカメラ。嬉しくていつも首から下げていますが、この日は一枚も撮る事が出来ませんでした。
明日からまた山の生活です。
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